設立趣意

日本経済をこれまで支えてきた中小企業の経営は、現在極めて厳しい状況に立たされている。しかしながら、ここから脱却する処方箋はいまだに示されていない。

これまでの日本の中小企業の多くは、政府の公共事業や大企業の下請事業に依存してきた。政府の財政出動が有効な社会資本を形成した時代や大企業の製品が十分な需要に支えられたときは、こうした依存体質は一定の範囲で許されるものであった。

しかし今日は状況が大きく変化した。政府の膨大な財政負担や大企業の株主価値経営下での高利益率指向は、中小企業経営の依存体質を許さないものとしている。こうした状況の中で、革新的な中小企業は自立的な経営改革を実現し、新たな経営環境に果敢に挑戦している。

またITの進展と事業家の起業意識の高まりによって、各地でベンチャービジネスが勃興・奮闘している。

業務処理や情報通信での電子化は、既存企業にも大きな影響を与えたが、企業設立ブームからも明らかなように、コンピュータを利用した新規ビジネスの勃興を導いている。IT革命によってもたらされた経済的・ビジネス的メリットは、コストの削減と顧客ニーズの掌握である。人的および流通コストを大幅に節約することによって社会的生産性を向上させると同時に、顧客・消費者のニーズを資本循環サイクルに動員して利益実現の不確実性を排除したのである。このコスト削減と顧客ニーズの掌握の資本運動の担い手がまさにベンチャービジネスなのである。

機関株主支配下での株主価値経営のグローバル化の時代においては、自立的で革新的な中小企業の活躍とベンチャービジネスの勃興こそが、地域の経済の発展と個々人の富の拡大をもたらすものと考える。

自立的な改革を進める中小業やITを基礎に勃興するベンチャービジネスを支援すると同時に、これらの学術研究を促進し、会員相互の情報交換を行うことによって、中小企業の経営改革とベンチャービジネスの成長持続を支援することを目的として、われわれはここに中小企業・ベンチャー ビジネスコンソーシアムを設立する。